民事信託に関する業務のご説明


2021年05月11日弁護士 中谷拓朗

「信託」とは、信託法に掲げられた方法のいずれかにより、「特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすること」をいいます(信託法2条1項)。
 
具体的な民事信託に関する業務としては、後見制度や遺言などに民事信託を組み合わせることにより、老後等の備えとしての財産の管理や次世代への承継に関する柔軟かつ様々な選択肢をご提示し、最善の選択をしていただくサポートをさせていただきます。
 
たとえば、
①不動産オーナーが認知症になった場合、後見制度を利用しても、後見人が不動産を買い換えたり賃貸マンション・アパートを新築したりすることは必ずしも認められるわけではありません。
それに対して、認知症になる前に不動産を信託しておけば、その受託者により不動産の買換や新築もすることが可能となり、委託者は受益者としてそれによる利益を受けることができます。
 
②遺言では認められていない、いわゆる後継ぎ遺贈も、信託によれば実現することが可能です。
子のいない夫婦の夫が、夫の遺産をまず妻に相続させたうえ、妻の死亡後には夫の兄弟や甥姪に相続させたいと考えた場合などです。
 
③子に障害がある場合、その子への財産の承継・管理として、遺言や後見制度やではなく信託を利用することも考えられます。その子の兄弟姉妹等を受託者として、その子のための金銭の管理処分等を任せることができます。
 
このように、財産の管理や承継については民事信託も含めて十分な検討をすることが必要となります。
あわせて、相続手続や遺留分侵害請求など専門的に取り扱っておりますので、お気軽にご相談いただければと存じます。